S660について

HONDA S660

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概要

1996年1月に販売を終了したビート以来、19年3か月ぶりとなる軽自動車規格のオープンカーになる。
2013年11月の東京モーターショー2013に参考出品されていた「Honda S660 CONCEPT」をベースに市販化したモデルであり、FRレイアウトのS2000同様に”S”を名乗るものの、MRレイアウトのため、従来の系譜とは大きく異なる。
企画そのものは、本田技術研究所設立50周年を記念し、社内で「新商品企画提案」が開催されたことに端を発し、応募総数約800件の中から第1位に選ばれた椋本陵さんの案が原案となっているが、1988年生まれの椋本さんは、上述のビートに対するリメイクが一切ない状態で企画を提案した。
入社4年目だった椋本さんは上述の経緯から、2011年にS660のLPL(ラージプロジェクトリーダー、開発責任者)に史上最年少で選出された。
生産に際しては、上述の八千代工業で行われるが、従来、FF車(ライフやゼストなど)を生産していたラインを改修して活用することで、コストの増大を極力抑えると同時に、専用の検査ラインを含め、人の手と機械を融合させた専用行程を取り入れた少量生産技術での生産を採り入れることで、工員のスキルとモチベーションを引き上げるようにした。こうした一連の工程ゆえに月あたりの生産台数が限られている。

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デザイン

突き抜ける弾丸のようなラインでミッドシップならではのフロントを低く抑えたデザインで、フロントフェンダーのダクトからのインパクトラインが車体を更に加速する物体へと導く。
ドア後方下側にはエンジンルームへの吸気のためのダクト、ドアウインドウ後方にも同ダクトを配置しスポーツカーらしい佇まいと力強さを感じさせるデザインとなっている。
天井の幌を外し収納することでミッドシップ2シーターでありながらオープンというこの上ないスタイルと解放感を両方手にできるのがこの車の最大の特徴といえる。
フロントタイヤとリアタイヤは異径でありNSXと酷似するがこの異径ゆえに突き刺さるようなシルエットが生まれる。
収納スペースが無いとかオープンにする際手動でカッコ悪いなど賛否両論あるが、この潔いほどの決断がこのスタイルと運動性能を可能にし私たちオーナーの満足度を上げているのも事実であり、この点に関してはそれぞれの価値観に委ねたい。
しかしこれだけは確かに言えることであるが、前述のモーターショーにてConceptModelが発表されその姿にやられたオーナーは少なくない。

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メカニズム

エンジンにはN-BOXシリーズをはじめとするNシリーズに搭載されているS07A型ターボエンジンをベースに新設計のターボチャージャーを採用した改良型を搭載するが、痛快なハンドリングを実現すべく、横置きミッドシップレイアウトとすることで最適な重量バランスとしている。
トランスミッションにはMTとCVTの2種類を設定しており、MTはエンジンパワーを最大限に活用するため、ワイドレンジ・クロスレシオに設定した軽自動車初の6速MTを採用。CVTはスポーツモードへの切替もできる7速パドルシフト付とした。併せて、CVT車にはアイドリングストップシステムも搭載しており、全車で「平成17年基準排出ガス75%低減レベル(☆☆☆☆)」認定を取得するとともに、CVT車は「平成27年度燃費基準+10%」、MT車は「平成27年度燃費基準」をそれぞれ達成している。
シャシは完全新設計で、ボディは高い剛性を確保しつつ、各部の形状を徹底的にシンプルに仕立てた「一線入魂ボディ」を採用している。また、サスペンションも操安性を向上させる目的で、ビート以来の4輪ストラットを採用すると同時に、スムースな車両挙動を実現すべく、「アジャイルハンドリングアシスト」が軽自動車で初めて採用された。
安全装備に対しても積極的で、全車にVSA(ABS・TCS・横滑り抑制)や両席i-SRSエアバッグ/サイドエアバッグの採用のみならず、LEDヘッドライト(ロービーム)をも標準で採用する。同時に、全車にメーカーオプションでシティブレーキアクティブシステムが選べるようにもなっている。なお、シティブレーキアクティブシステムは近赤外線センサーを採用し、30km/h以下で必要に応じてブレーキを自動操作する仕組みとなっている。
分類上はオープンカー(車検証では「幌型」と記載されている)だが、ルーフの開閉部分は頭上のみなので、ボディの構造的にいえばタルガトップに近い。そのルーフ開閉部分は「ロールトップ」と呼ばれ、開閉は簡単にできるように軽量化されるが、積雪時でも耐えられるレベルの強度を確保している。外したロールトップはフロントフード内にあるユーティリティボックスに収納が可能となっている。なおラゲッジスペースはなく、幌のクローズ時にユーティリティボックスが少量の荷物収納スペースとなる程度である。
両座席後方にはリヤパワーウインドゥと呼ばれる小窓があり、風の整流調整とエンジンサウンドを堪能できるようになっている。
軽自動車では珍しくリアにもディスクブレーキを装着し安全性、機能性も保持する。

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スペック

販売開始
2015年4月
乗車定員
2人
ボディタイプ
2ドア オープン
エンジン
S07A型 660cc 直3 DOHC
駆動方式
MR
出力
最高出力47kW(64PS)/6,000rpm: 最大トルク 104N・m(10.6kg・m)/2,600rpm
ミッション
6速マニュアル / 無段変速オートマチック (トルクコンバーター付) [7スピードモード付] +パドルシフト
サスペンション
前後マクファーソン式
サイズ
全長 3,395mm 全幅 1,475mm 全高 1,180mm ホイールベース 2,285mm
車両重量
830-850kg

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